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バリ取り作業はどのような仕事?バリの種類や加工方法も紹介

金属や樹脂、木材などの素材を加工すると、「バリ」という意図しない出っ張りや残留物が発生します。

バリが残ったままだと製品を使う人のケガや製品そのものの故障につながることがあるため、

バリを取る作業が必要です。

 

この記事では、バリ取り作業の内容やバリの種類、加工方法を紹介します。

 

 

バリ取り作業とは

バリ取り作業とは、素材を加工した際に生じたバリという出っ張りを除去する作業のことです。

ヤスリやナイフなど専用の器具を使ってバリを削り、鋭利な箇所をなくしていきます。

バリ取りは手作業だけでなく、ロボット・画像認識・センサーなどで自動化している企業もあります。

 

ただし、バリだけをピンポイントで除去するのは困難です。

 

そのため、面取り(C面取り・R面取り・糸面取りなど)により、

出っ張り部分をバリの寸法より少し大きめに削って加工するのが一般的です。

 

 

バリの種類

バリは、大きくわけて3種類あります。

加工方法によってバリの発生状況が異なるため、それぞれの特徴を覚えておきましょう。

 

・切削加工時に発生するバリ

・プレス加工時に発生するバリ

・鋳造および鍛造時に発生するバリ

 

切削加工時に発生するバリ

工具を用いて金属などの材料を削ったり穴を開けたりする切削加工では、

加工部分が変形することによりバリが発生します。

 

物体には一定程度まで元に戻ろうとする力が働きますが、

一定以上の力を加えると元に戻らなくなります。

 

切削加工時に発生するバリは、元に戻る弾性変形から元に戻らない

塑性変形に変化する過程で生まれるものです。

 

切れ味の良い工具を利用したり切り込み量を抑えたりすることでバリの量を

減らすことはできますが、完全になくすことは難しいでしょう。

 

加工の仕方によって差はありますが、切削加工時はバリ取り作業が欠かせません。

 

プレス加工時に発生するバリ

ダイやパンチと呼ばれる金型を用いて材料に圧力を加えるプレス加工では、

パンチとダイの隙間(クリアランス)によってバリが大きくなることがあります。

 

プレス加工ではクリアランスを適正な範囲に設定しますが、バリを完全になくすことは困難です。

 

バリなし加工など特別な技術を用いた場合を除いて、プレス後のバリ取り作業は欠かせません。

 

鋳造および鍛造時に発生するバリ

鋳造および鍛造で金属を成形加工する場合もバリが発生します。

 

鋳造・鍛造で発生するバリはパーティングライン(型と型の合わせ面に発生する凸部)といわれ、

型に合わせて加工するためバリを防ぐことは困難です。

 

バリなし鍛造など特別な技術を用いる企業を除いて、バリ取り作業が必要になります。

 

 

 

バリ取り作業をおこなう理由

バリ取り作業をおこなう理由は3つあります。

 

・使用者・作業者がケガをしないため

・製品の組み立てに支障がでないようにするため

・製品の計測に誤差が生まれないようにするため

 

使用者・作業者がケガをしないため

3つの理由のなかで最も重要なものが、使用者・作業者のケガ防止です。

 

1995年7月1日より製造物責任法(PL法)が施行され、

製造業者に無過失責任が課されたことにより、

使用者がケガをした場合のリスクが極めて大きくなりました。

 

そのため、ケガをする可能性があるバリは、完全に取り除く必要があります。

 

作業者のケガ防止にもつながるため、現在の製造業において

バリ取り作業の重要性は高まっています。

 

製品の組み立てに支障がでないようにするため

バリは加工した部品の端に出ることが多いため、組み立てに支障が出ます。

 

組み立てに支障のある部品は納品先から返品を求められ、納期に遅れてしまう可能性もあります。

企業そのものの信用を毀損するリスクもあるでしょう。

 

製品に不具合を生じさせないためにも、

加工した部品に発生したバリは完全に取り除く必要があります。

 

製品の計測に誤差が生まれないようにするため

バリを放置すると部品の寸法にズレが生じ、製品を作る際に誤差が出てしまいます。

誤差を生まないためにも、バリを取る必要があります。

 

部品を発注する企業からは「バリなきこと」といった条件が設けられることがあり、

条件がある場合は一定範囲内のバリに抑えなければいけません。

 

JIS規格(日本産業規格)に記載されたバリに対する指示例では

0.3mm程度が基準になっています。発注元によってはさらに厳しい場合もあるので、

与えられた条件に従ってバリを取り除きましょう。

 

 

バリ取りの方法

バリ取りは、主に以下5つの方法があります。

 

・機械加工

・砥粒加工

・熱的加工

・化学加工

・電気化学加工

 

機械加工

機械加工とは、バリ取り機などの専用の加工機を用いてバリを除去する方法です。

 

ローラータイプ・ボールで潰すタイプ・洗車機ブラシタイプなど

さまざまな形式のバリ取り機があります。

 

タイプによって得意なバリの種類が異なるため、取りたいバリに合わせたものを選ぶことが大切です。

 

 

砥粒加工

砥粒(とりゅう)加工とは、砥粒という研磨材を使ってバリを除去する方法です。

 

砥粒ジェット・砥粒流動・バレル研磨などの方法でバリを削り、除去していきます。

磨き加工とバリ取りを兼ねることができるため、工程を集約できます。

 

熱的加工

熱的加工とは、熱で溶かすことによりバリを除去する方法です。

火炎やプラズマなどを利用してバリを加熱し、除去します。

 

化学加工

化学加工とは、薬品を用いてバリを溶解させて除去する方法です。

 

形状が複雑な部品のバリ取りに適する一方で、

人体に危険な薬品を使うこともあり、取り扱いには注意が必要です。

 

電気化学加工

電気化学加工とは、電気分解を用いて化学的にバリを除去する方法です。

電極治具が入るところであれば、複雑な部品の小さなバリ取りにも使えます。

 

一方で大きなバリを除去する場合は効率が悪く、他の方法を選ぶことが多いです。

 

 

バリ取りの注意点

バリ取りを行う際は、2つの注意点があります。

 

・バリ取り中に製品を傷つける可能性がある

・作業中にケガをする可能性がある

 

 

バリ取り中に製品を傷つける可能性がある

バリ取りは製品の端を削ることになるので、削りすぎると製品を傷つける可能性があります。

特にヤスリなどを用いて手作業でバリを削る場合は、注意が必要です。

 

少しずつバリの様子を見ながら、慎重に削りましょう。

 

また、材質の強度よりもバリ取り機材の強度が勝っている場合は、

バリ取り機材によって製品を傷つけてしまうことがあります。

 

材質ごとの強度を踏まえて、最適なバリ取り方法を選ぶことが大切です。

 

 

作業中にケガをする可能性がある

バリは鋭利なことが多く、作業中にケガをする可能性があります。

 

手作業でバリ取りを行う企業は、作業者に保護具を着用させるなど安全管理を徹底しましょう。

 

バリ取り用の機材を揃えてバリ取り作業を自動化し、ケガのリスクを抑える方法もあります。

 

作業者がケガをしてからでは遅いので、安全に作業できる環境を企業側が整備することが大切です。

パンダ

まとめ

ここまで記事を読んでくださりありがとうございます。

この記事を通じて、バリ取り作業について理解が深まりましたら何よりです。

バリ取りが必要な製造業などに興味がある方は、ぜひ参考にして、新しいキャリアに挑戦してみてください。

ジャパンクリエイトでは資格取得の支援から就業先の紹介まで行っておりますので、お気軽にご相談ください。

深堀解説シリーズとは

テーマの解説だけではなく、その背景や関連することをまとめて要約し、
読み応えのある記事を提供して参ります。