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製造業でよく聞く歩留まりって何?歩留まり率の計算式や改善方法について解説

 

製造業では多数の人や材料・部品が関わるため、一切の不良品なく生産するのは事実上不可能です。

そのため、歩留まりをみて不良品がどれくらい出ているのかを把握し、改善することが求められます。

そこでこの記事では、製造業でよく聞く歩留まりや歩留まり率の計算式、改善方法について解説します。

管理者だけでなく、現場の作業者も知っておいて損はないので、工場での仕事に興味がある人はぜひ参考にしてください。

歩留まりとは

 

歩留まりとは、製造業など生産全般において、原料や素材の投入量に対し、実際に得られた生産数量の割合です。歩留まり率ということもありますが、意味は同じです。

歩留まりが高いと生産効率が良く、低いと不良品などによるロスが大きいことがわかります。

製造過程において不良品の発生は避けられませんが、コストをできる限り抑えるために歩留まりを高く維持することが求められます。

歩留まり率の計算方法

 

歩留まり率の計算方法は以下の通りです。

歩留まり率(%)= 実際の生産数 ÷ 投入した原材料 × 100

現場によっては歩留まり率を良品の割合(良品率)とみなすことがあり、その場合の計算方法は以下の通りになります。

歩留まり率(%)= 良品数 ÷ 実際の生産数 × 100

歩留まり率とあわせて不良率・手直し率・転用率も使われますので、各見出しで解説します。

不良率の計算方法

不良率とは、生産数に占める不良品の割合です。以下のように計算します。

不良率(%)= 不良品数 ÷ 実際の生産数 × 100

例えば、製品を100個生産して不良品が5個発生した場合、不良率は5%です。

不良率は最終的に廃棄された不良品の割合を指すこともあり、その際は計算式が異なります。

不良率(%)=(不良品数 – 手直し数 – 転用数)÷ 実際の生産数 × 100

手直し率の計算方法

手直し率とは、生産数のうち再加工や修正など何らかの手直しをした製品の割合です。以下のように計算します。

手直し率(%)= 手直し数 ÷ 実際の生産数 × 100

例えば、製品を100個生産して15個手直しした場合、手直し率は15%です。

転用率の計算方法

転用率とは、本来生産するものとは別の製品・部品に転用した割合です。以下のように計算します。

転用率(%)= 転用数 ÷ 実際の生産数 × 100

例えば、製品を100個生産して2個転用した場合、転用率は2%です。

良品率と直行率とは

 

歩留まりを分析する際に、良品率や直行率を見ることがあります。

良品率とは生産数に対する良品の割合、直行率とは手直しなく良品として生産できた割合です。

例えば100個の製品を生産し、手直しなく良品として出荷できたものが70個、手直ししたうえで出荷できたものが15個だった場合、直行率70%、良品率85%となります。

手直しには余計なコストが発生するため、単に良品率を上げるだけでなく直行率を高く保つことが製造現場では重要です。

良品率が高いのに思うような収益が上げられない場合、直行率が低い可能性が考えられます。

歩留まりの重要性

 

歩留まりは、製造業の収益に大きな影響を及ぼします。

そもそも自社で製造拠点を持つ企業の収益率は決して高くはなく、自動車販売台数世界一を誇るトヨタ自動車でも、売上高の10%程度の営業利益率しか確保できていません。

製造業の売上高に占める営業利益率は平均4%という過去のデータもあります。

歩留まりが悪化すると、コストが増えるだけでなく売上の減少にもつながります。

悪い歩留まりを放置すれば慢性的な赤字から抜け出せず、倒産せざるを得なくなる可能性すらあるでしょう。

歩留まりを意識し、高い歩留まりを保つことは事業を継続するために極めて重要です。

歩留まりを正確に把握し改善する方法

 

歩留まりを正確に把握し改善するには、最終的な良品数や不良品数を把握するだけでは不十分です。

どこで不良品が発生しているのか、なぜ発生するのかを調査・分析し、改善策を練る必要があります。

ここでは、現場でよく用いられる改善方法を2つ紹介します。

・不良品の発生状況の記録および集計
・5M+1Eの視点で調査する

不良品の発生状況の記録および集計

製造業において、各工程で全く同じ割合で不良品が発生することは、一般的に考えにくいです。

不良品の発生原因が特定の工程に偏っていたり、前工程での作業内容が後工程での不良品発生を誘発したりすることがあります。

どの工程でどのような不良品が発生したのかをまずは記録・集計し、どこを早急に改善すべきなのか判断する必要があります。

5M+1Eの視点で調査する

不良品の発生した工程に対しては、5M+1Eの視点で調査しましょう。

5M+1Eとは、製造現場の管理に必要な6つの要素です。

・Man:人
・Machine:機械
・Material:材料
・Method:方法
・Measurement:検査・測定
・Environment:環境

不良品の発生は人や機械だけでなく、材料や作業のやり方、測定方法、作業中の温度・湿度などが原因になる場合もあります。

また、原因は一つだけとは限らず、複数の要素が原因になることもあります。

現場の管理者と作業者が積極的な情報共有や意見交換を行い、不良品が発生しづらい作業方法や環境を整備していくことが大切です。

歩留まりの改善フロー

 

歩留まりの改善は、以下のフローに従って行います。ルールを定めて管理し、AIなど最新技術を活用することで、高い歩留まりを維持できるでしょう。

・各プロセス毎のルールの策定
・社内の管理体制の強化
・AIやIOTの活用

各プロセス毎のルールの策定

まずは、現場の意見も聞きながら各プロセス(工程)ごとにルールを策定しましょう。

作業者によってやり方が異なる場合は、どのプロセスがやりやすいのかを話し合い、統一してください。

部品や道具の置き場所も厳格にルールを決め、作業しやすい環境を整えましょう。

ルールを策定して守らせることで、不良品を減らせるだけでなく発生時の原因究明がしやすくなります。

社内の管理体制の強化

社内の管理体制も強化しましょう。

各工程に管理者を配置し、現場全体の管理者と密に連携できるようにします。

管理者だけに任せるのではなく、作業者も含めて全体で品質を維持・管理していく意識づけも必要です。

AIやIOTの活用

ある程度予算をかけられる企業なら、AIやIOTの活用も有効です。

データの収集や不良品の分析などを自動化でき、人よりも早く効率的に歩留まり改善を行うことができます。

ただし、管理体制が整っていない状態でAIやIOTを導入しても効果は薄いでしょう。

ある程度人の手でルール策定や管理体制の強化を実施したあとに、必要に応じて導入してみましょう。

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まとめ

ここまで記事を読んでくださりありがとうございます。

 

この記事を通じて、歩留まりについて理解が深まりましたら何よりです。

 

製造業の品質管理などに興味がある人は、ぜひ参考にして、新しいキャリアに挑戦してみてください。

 

ジャパンクリエイトでは資格取得の支援から就業先の紹介まで行っておりますので、お気軽にご相談ください。